虚構機関

2007年日本SF傑作選。少々酔ってるんで、勢いで書きたいこと書いちゃおう。
『グラスハートが割れないように』小川一水疑似科学批判。作者の別作品でも思ったが、女性の造形がなんだかテレビドラマじみてる。小説なのになぜ演劇をやらせるんだろう。

『7パーセントのテンムー』山本弘。オチは素晴らしいSFで大好きなんだが、前段になんとも形容し難いいやらしさを感じる。この品のなささえなければ。あと『神は沈黙せず』でも感じたが、この人の造語センスは堺屋太一に近い。

『パリンプセストうんちゃらかんちゃら』円城塔。こういうのを面白がる根性も教養も僕にはないのだ。残念。

『それは確かです』かんべむさし。感動はコモディティ化する。収録された3本のショートショートうち2本で、著者は自作が2番煎じでないかと気にしている。僕は星新一を通過しなかったけれど、物心ついた時にはあらゆる本で、漫画で、テレビや映画で、“あの”感動を再現しようとする無数の作家の努力を浴びてきた。だからいま、星新一リスペクトと言われて一編のショートショートを見せられても、正直、困ったなあ、という感想が先に出てきてしまう。

『うつろなテレポーター』八杉将司。こいつもまた読みにくい……と思ったら、意外と気に入った。良い設定、良いSFだ。

『大使の孤独』林譲治。面白いと思う反面、やっぱしずるいと思う。こんなん設定作ったモン勝ちじゃん。

"The Indifference Engine" 伊藤計劃。いちばんまっとうに面白かった。