マクドナルドの『CZECK DREAM: Cesky Sen』を地で行く戦略。

Quarter Pounder(クォーターパウンダー)って新ブランドのハンバーガーが日本上陸って、あははまた面白いコマーシャルしてんなーWEBのマガジンもこれ提灯記事書きすぎだよとか思ってたら、ホントにマクドナルドだって隠したままやっちゃったのか! んでホントに騙されてる人がいる! Googleで検索すりゃすぐに出てくるじゃねえか! あれただの横にデカいビッグマックなのに!

少し前、チェコドキュメンタリー映画で『CZECK DREAM: Cesky Sen』(チェコの夢)という、映画学校の学生が作った作品があった。

――EU加盟を目前に控え、消費文化が恐ろしい速さで育ちつつあるチェコで、ふたりの映画学校の学生が、ある実験を試みる。消費文化の代名詞たる“ハイパーマート”(巨大ショッピングセンター)を、1店舗まるまるでっちあげ、ウソっぱちの開店セールにどれだけ客が集まるか試すのだ。ふたりは、一流マーケティング会社やアパレルブランドを巻き込んで、一大計画を遂行する。顧客リサーチをし、テーマ曲を作ってCMを流し、街中にポスターを貼りまくり、プラハ郊外の荒地に巨大店舗の正面だけを作り上げる。そしてオープニング当日、ブランド服を着こんでマネージャーに扮したふたりが目にしたのは、数千の人々だった。彼らが店舗に向かって駆け出すと――

こうやって書くと面白そうだが、実際はそうでもない映画だった。学生の“俺たちの批判精神はどや!”的な意図や演出が鼻につくし、オチもグダグダだ。たぶんもっと映画的な、コミカルでスラップスティックなオチを期待したんだろうけど、実際集まった市民の反応はもっとドロドロで、力なく、なんともイヤなものだった。あげく、国の費用支援でこんな映画を作って市民をバカにしたと、妙に批判されたりしてる。

今回のマクドナルドのマーケティングは、これを地で行ってるような気がする。映画のネタでなく。なんというか、イヤだと言うより、ようやるわ……という感慨の方が大きい。オバマじゃないけど、現実は映画の後追いでやってくるんだなあ。

メガマックマックグリドルに続き、クォーターパウンダーも本格的に根付くとなると、日本人の食習慣も完全に欧米と変わらなくなったっつう、ひとつのエピックっぽいなあ。いや、悪いとはぜんぜん思わないんだ。それはそれで。