ひとりっ子

イーガンせんせいの短編集。おもしろかった!
ハードサイエンスより、ということだけど、イーガン作品を読みなれたせいか(&立ち止まって深く考えられるほど頭がよくないので)、特に気にせずどれも感動できた。『決断者』は表現がまだるっこしかったけど。
お好みは『ルミナス』。再読だったけど、小さな思索に始まって、ぐんぐん外に広がり“宇宙”に到達するのは、まさにSFの心地よさ。たとえば古典的な宇宙SFを読んだあと、空の星を見あげるように、この短編を読んだあと自分を囲む空気を感じて、想像にひたることができる。現実世界は目に見える現実よりもっと美しいのかもしれないと。
『オラクル』『ひとりっ子』は長編になりきらなかったモノの断片なんだろうか。『ひとりっ子』には、むかし読んだ『バーチャル・ガール』を思い出したけど、イーガンの方はサイエンスが主人公のアイデンティティのより深いところに踏み込んでいて、よくあるアンドロイドのモチーフとは一つ違う次元で感動させてくれる。ぜひこの主人公の続きが読みたいなあ。