グリーンマーズ / ロボット入門 / 歴史学の方法

まずはさんざんゴネたKSRのグリンマーズ、流石にもうかなり前に読み終えてたんだけど、とりあえず報告しいうことで。

非常に面白かったです。浸れました。前作よりダイナミズムに欠けるけど、地に足のついた自然描写、政治描写、人間描写が見事に折り重なって、架空の世界そのものを楽しめる。まるでそこに居るような歓びがある。各章ごと別々のキャラの主観で世界が描かれるんだけど、特に女性キャラ2人には共感できた、というか憧れに近いものを覚えた。こういう生き方、こういう考え方ができる人生があるとしたら、それはなんと豊かな人生だろう、と。さんざんゴタゴタあった上で、それでもあくまで前に進んで行く、微笑ましいぐらいに希望に満ちたエンディングは大好き。

巻末解説にも紹介されていたけど、火星の大気の色の変化について、主人公のひとりが考察する描写がある。この小説に出てくる人々は、或いはこの小説を書いた人は、大気の色を様々な理論とデータを駆使して、意味のある現象として理解することができる。美しさの理由が解る。それは魅惑的な描写だ。この部分を読んだあと、ふと空を見上げてしまった。空がどうして青いのか。架空の未来の火星の空にあるのとまったく同じ理論が、いまこの現実の地球の空にもある。僕にわかるのはその事実だけだけど、それは嬉しいことだ。読めて良かった。



さて、小説とは別に、余興でダラダラと読んだ本を。余興なんで内容は殆どアタマに入ってません。

舘 のロボット入門。実際ロボット作ってるひとがえらいわかりやすい書き方でロボットのイロハを教えてくれる。スタートレックファンとしては、“アトム”と“データ少佐”を同列に紹介してくれてるのが嬉しい。

一点ひどく驚いたのが、ロボットという単語と概念を確立したカレル・チャペックの戯曲『RUR(ロッサム万能ロボット会社)』のストーリー紹介。いままでその名前は幾度と無く見ていたけど、その内容がどういうものなのかは、とんと知らなかった。概念を作り上げたことに意義があるんで、内容自体はそれほど深いものじゃないと思い込んでいた。それがこの本で粗筋を知ってどうだ、驚くべき濃さ。壮大なスケールと余韻に満ちた幕引きは、後世の無数にあるロボット作品になんら劣るところがない。いままで「アトム」や「火の鳥」を創った手塚治虫は凄いなあと思っていたが、なんだチャペックからそれほど進化してないじゃあないかと思ってしまった。まあそれも軽率な意見だが、とにかく偉大な作家だと思いなおしたコト。

もう一冊、マックス・ウェーバー歴史学の方法。大学の頃ちらっと英語で読んだがさっぱり意味が解らなかった記憶があって、最近たまたま図書館で発見して思わず読んだが、なんだこりゃ日本語で読んでもちっともわかんねえじゃねえか! 原文でのこいつの文章の書き方が悪いのだ! たまに何とか婦人の手紙だとか、面白い例え話でおおこりゃ面白れえかな……と読んでくといつのまにかグチャグチャしてきて、こっちもムカムカしてくる。 クソッタレがカッコばっかつけやがって要点を話せ要点をォ!