ステート・ウイズイン〜テロリストの幻影〜

イギリス製の政治サスペンスドラマ。第1話を見逃して、そのダイジェスト映像で主人公の上を落ちてくるジャンボジェットとか、かなりソソる映像があったため観はじめたものの、第2話、第3話と観て残念ながら面白くない。

テロを扱ったリアルな政治ドラマかというと、そんな風にはならない。早々に“アメリカ政府側に軍需産業と結びついた悪者がいる”という単純な図式が見えてしまい、それに対する主人公、イギリス大使館側は、イスラムの同胞を守る正義のヒーローと化してしまう。全体に重くダークな雰囲気を持たせようとしているが、設定が軽いので乗り切れない。

それでは『24』のように、常にテンションを保ったクィーキーなアクションと謎の連続でぐいぐいひっぱるかというと、それもない。主人公の大使がバンバンアクションをこなすわけではないし、銃が登場しても撃たずにダラダラと長いシーンが多い。そしてなにより、状況説明がヘタだ。中途半端に小難しくてしかもリアリティのある演出を目指しているのか、各シーンごとにキャラクターが何をやってるのか、ぜんぜん伝わってこない。状況ごとのセリフが耳に入っても、それがストーリーとしてまとまってこないのだ。

正直、アメリカのテレビドラマづくりのレベルの高さを思い知らされる。もちろんイギリスにも、『ドクター・フー』や『ブリーク・ハウス』(これは実は未見)のように見事と唸りたくなるシナリオのドラマはあるわけで、この作品は制作者が乗っかった土俵が悪かったのか、制作者自身のクオリティが低かったのか。こまったことだ。

それからもうひとつ。イギリス人がアメリカ人の役をやっても、みんなイギリス人顔に見えるんだな! 同じ英語をしゃべる白人なのに! アメリカ人ってほんとう、白人種のなかでも相当ミックス(混血という意味でなく混在)されてて、それが全体として、ひとつの「人種」をかたちづくってるんだ。