トロピック・サンダー/史上最低の作戦

ある映画の撮影を通して、落ち目だった映画俳優が真の役者へと脱皮してゆく、感動の物語。だが一切泣かない。作りとしては、ある意味『ギャラクシー・クエスト』と同じなんだが、ギャラクシー・クエストが“本気で感動してもOK”な作品だったのに対し、こちらは感動できるギリギリ一歩手前で全部クソミソにして笑わせてくれる、最悪に下品でバカな映画。素晴らしい。

ありとあらゆる変態的状況のなかで突然真面目に映画論役者論を語り倒す濃密なボケと、ド派手な爆発ギャグの二本柱で、観ていて飽きない。特にクライマックスの主人公救出シチュエーションのボケは、鉄板。日本のスポコン系漫画のパロディと同じだ。

爆発ギャグでは、ド派手な火薬爆破も楽しかったが、お気に入りは人体爆発ギャグ。人によっては過剰に残酷と思われるかもしれんが、あのタイミングは神がかってた上に、その“過剰さ”をホントにやっちゃうところに笑いの真髄があると思う。

爆破を抜きにしても、アクションシーンのキレのよさは特筆も相当なもの。特に子役の格闘シーンは本当に目が話せない。タダの悪ガキ顔が、一瞬本当に格闘家俳優の顔に見えてしまうところなんか、魔法のような演出だ。手ぇ叩いて笑った。そしてそのシーンを長々と見せる笑いにせず、アクションに畳み込むところが、制作者としてのコメディアンのセンスなんだろう。

あと予備知識をあんまり入れないで観に行ったんで、最後のサプライズもホントに笑った(ネットの映画サイト今見たら盛大にバラされてたけど)。あれを観ると、もっかい観にいきたくなる。いい映画だった。