エリザベス:ゴールデン・エイジ

ケイト・ブランシェットと同じ時代を生きることができて本当に幸せ。これほど美しい女優はそうそういないよ。白い肌。黒目がちな瞳。凹凸のすくない身体からまっすぐ伸びた手足。低い声。あんなのにのしかかってこられたら気を失う。

前作の印象が強すぎたせいか、続編である今作については、作品としては少しアレだ、展開にメリハリが乏しい気がするし、演技も惰性でやってるんじゃないかと思える部分がある。エリザベスを自由の信奉者っぽく描きすぎな気もする。なんというか、もしあの『エリザベス』のキャストで、続編が作れたらこんな展開にする! という素人の妄想をわりとストレートに映画にしてしまったような感じ。ふと、小学校の頃『大造じいさんと雁』の続編を勝手に書いたら、なんかローカルな作文賞取ったの思い出した。

しかしまあ、そんな上から目線の鑑賞視点は要らんのかもしれない。ケイト・ブランシェットが演じる女性君主の存在は今回ものめり込める。オープニングの状況説明を読んだだけで手に力がはいる(彼女の周りはすべて敵なのだ)。そして続く宮廷シーンでは、エリザベスはドスの聞いた声と強烈な英国アクセントで、家臣どものイヤミや外交官の謀略めいた発言に対し、気の利きまくった英国風のイヤミを言いまくる。これはもう観ていて快哉を叫びたいぐらいだ。成熟した女王の姿には心底惚れ惚する。"I can't" を「アイ・カーント」と発音するのを聞くだけで幸せ。ブランシェットの視線や口元の動きといった細やかな演技ひとつひとつが、女王の感情を的確に伝えてくる。歴史モノというよりも、現代劇としてひとりの女性に共感できる。

中盤に一瞬挿入される、前作での“少女時代のエリザベス”は、反則的に美しい。前作はつい最近に思えて、10年前だ。10年前のブランシェットはあんなに若い演技もできたんだなあ(当時すでに30近かったハズだけど)。