団塊ボーイズ

アメリカの地方都市で、中年の危機を迎えた4人のバイク仲間が、すべてを忘れるため西海岸に旅立つコミカル・ロードムービー。たぶん中年層にアピールするためにこんなタイトルつけたんだろうけど、だったら上映も新宿のコ洒落シネコンでなく、日比谷有楽町とか上野とかにすべきだよ。久々にバカ笑いできた、いい映画だった。充実。

ロードムービーってんで途中で悲しい別れや人生に感する洞察だとか、いろいろ泣かせ要素が出てくると思いきや、そんなものはほとんどない。とにかくダメ中年たちがドジこいてドジこいてそれでもへこたれずがんばって、最後の最後まで笑わせてくれて、ちょっとしたヒーローになってスッキリ! イヤなことはとことん排除した純粋なコメディだった。笑いのテンポが速く、下手な感情描写でダレたりすることは一切ない。とにかく手をたたいて笑える爽快さが素晴らしい。

主役4人のうち知名度が格段なのはトラボルタだけれど、主人公はティム・アレン。ロングランのシュチュエーションコメディ『ホーム・インプルーブメント』で主役を張っていたコメディ俳優で、日本では『ギャラクシー・クエスト』の主人公か、『トイ・ストーリー2』のバズの声ぐらいでしか知られていない。

『ホーム・インプルーブメント』は僕が学生の頃ニュージーランドでもやってたんだけど、『Mad about you』とか、シティスタイルのダルト・コメディに夢中だったんで、旧態然としたティム・アレンのコメディはかったるかった(それでも面白かったんだけど)。でも、『ギャラクシー・クエスト』とこの映画を観ると、彼は中年男性という役どころを物凄く心得ていて、無理な冒険はせず本当にウケるものだけを提供しようといる。筋の通った職人なんだな。

ちなみに本作では、『ホーム・インプルーブメント』のキャラをそのままつかったギャグ(ヘンなうなり声とか、どーでもいいネタなんだけどね)があったり、エンディングもまさに『ホーム・インプルーブメント』だったりして、当時の視聴者層に対するアピールをかなり混ぜてある。ティム・アレンはやっぱり、映画1本作れるぐらいの厚い客層を持つ、相当のスターなのだ。