電脳コイル

これは反則的にズルい。冒頭に解ける謎のシーケンスは、ブン殴られたような感動だ。いや謎じたいはなんとなくわかっていたけれど、こう表現されると……。ひとのいのちをああいうかたちで表現するのはやめていただきたい。涙がとまらん。

最終回に至って“コンピュータと人の心”というSFテーマは、けっきょく地球の外に向かうことは無かったけれど(まあ当たり前だわな)、とても真摯にひとの内面に入っていった。コ洒落た比喩や暗示的な表現を使わず、ストレートに、コンピュータに繋がったひとの感情、記憶、心の繋がりを描き表わしてくれた。コンピュータがひとの心を解き明かして、稀に見る純粋なヒューマンドラマとして結実した。

テクノロジーはひとの心と対立しない。テクノロジーが介入してもも、ひとの心は変わらない。いやむしろ、テクノロジーはひとの心を豊かにする。電脳コイルとは、そういう物語であったと思う。