さよなら、さよならハリウッド

BSの民放でやってたやつを録画して観た。気軽に見られてすっばらしく下らない笑いのシチュエーションの連続。はっきりいって中身はカラッポで、要はその場がおもしろきゃいいのだ。“目が見えない映画監督”というどーしょーもないベタネタで2時間引っ張り転がり落ちるようにベタなオチに持ってく展開はまるでシチュエーション・コメディの教科書。あーフランスが存在してよかった!

ウディ・アレン映画というと作家性が強いように思われるけど、このヒトのコメディて、『アニー・ホール』の頃からアメリカの30分ものシュチュエーション・コメディの元祖というか、最上級形みたいなもんなんだよな。日本語吹き替えの難しさもあってなかなか伝わらないけど、1世代前の『フルハウス』はともかく、『あなたにムチュー』とか『ウィル&グレース』なんかのニューヨーク系シチュエーション・コメディは、この映画と基本的に同じ、会話のテンポとクオリティに拘った作品だと思う(そのクオリティが全エピソードに発揮されてるかどうかは別として)。

でも中身がなくて会話の巧みさで笑わせるコメディって、字幕にしろ吹き替えにしろ日本語訳がものすごく難しい。まともにゃウケなかっただろなあ、コレ。

個人的にびっくりしたのが、この映画デブラ・メシングが出てるのね。彼女は『ウィル&グレース』と『ネッド&ステイシー』で通算10年以上シチュエーション・コメディのヒロインを張ってる女優。「アホな女」を見事に演じてた。考えてみりゃ彼女は赤毛ユダヤ人なわけで、ウディ・アレン映画じゃそれだけでギャグになるわな。劇中でダイエットするって言って、後半出てきたら実際カラダがしまってたのには感動した。