マンハッタン

都市好きにはたまらないウディ・アレンの『マンハッタン』。せっかく自分で大きいテレビを買ったんだしということで借りてきたが、まがりなりにもHDの画面で観ると、ずいぶんと違うな。
ぼやっと光るブラウン管の小さな画面で観ると、ガーシュインのBGMではじまるニューヨークの遠景は、まるでミニチュアに見えたんだけど(それはそれで凄く新鮮でおもしろかった)、32インチぐらいになるとさすがにディティールがわかって、リアルの街らしくなるわけだ。でもやっぱり、スタジアムと高架鉄道や、花火に照らされるスカイラインの絵には、なにかSF的なスケール感を覚える。
そういえば、SFでは架空の都市空間に広がりと説得力を持たせる為に、高架鉄道を使ってるような気がする。といっても思い当たるのは『バビロン5』だけなわけだけど、室内セット感ありありのちゃちい“猥雑なマーケット・ストリート”のセットが、あるときティルトして、本来スタジオの照明があるところに、CGIで描かれた高架鉄道と夜景の映像がナチュラルにかぶさったときには、心底感動した。マットペイントがCGIの動画に取って代わられた瞬間だ。
ああ、ガンダムの映画でも、スペースコロニー内の高架鉄道って描写があったかも……。水平にすべる高架鉄道は、巨大な人工空間を表すのに欠かせないアイテムじゃないかなと思う。