40歳の童貞男

久々にふたりで映画を観にいったんだが、選択肢がコレというのが凄い。でも傑作だった。少し前、『ラブ・アクチュアリー』というイギリスの恋愛映画があったけれど、それに似た印象を受けた。見た後の気分がすがすがしくなる作品。

ラブ・アクチュアリー』は、様々な恋愛物語の集合体で、それぞれの物語に恋愛の様々な側面をうまく抽出してみせて、総じて恋愛ってすばらしいと思わせる幸せな映画だった。この映画も同じで、ストーリーは一本ではあるけれど、童貞であることで起こる多様な問題をうまーくディフォルメして、当然ながらギャグに仕立て、最後には童貞って凄く楽しい! と思わせてくれる。

40歳童貞のデフォルメには目を見張るものがあり、冒頭できっちり朝食を作り(イチゴをわざわざ半分に切ってる!) 、自転車で出勤するところなんか、実物をみたこともないのにあーそうそうやるやる! と頷いてしまうぐらいの説得力。しかしこういうメンタリティ、共感できる男と分できない男がいるんだろな。

これがネットで人気が出ないのが不思議、と一瞬思ったけれど、んー、たぶんネットのバイラルの中心となる人たちの価値観にはあわないんだろうな。なんだかんだでこの映画、アメリカのコメディにリテラシーがないとちょっと理解や感情移入がしづらいのかもしれない。「お前はゲイだ」ギャグとか、オチの凄い演出とか。

いやでもホント傑作だと思うから、これが単館上映で終わっていくのは悔やまれる。僕が入った回はかなりの入りで(たぶん ネットじゃなくてリアルの口コミでヒトがあつまったんだろう)、客席からは笑い声が絶えない状況。みんなで笑いを共有したってのも、気分を良くする一因かもしれない。