土曜日は静岡の熊坂がGI観に上京して来るいうのでなし崩し的に旧友4人と遊ぶ。わりとカジュアルに最低な遊びかたをしてきたのだが、そんなこと以上に驚いたのが、巨漢 墓山の激痩せ。
高校卒業後初めて東京で再会したときは駒込駅のベンチを横に占領し全身から汗を吹きだすデブ化っぷりで我々を驚愕させ、今年の正月に数年ぶりに実家に戻ったら親戚一同に余すことなく肥ったといわれ10歳年の離れた女子高生の妹からは「オメー人相変わりすぎ」と吐き棄てられたあの墓山が、11ヶ月ぶりに会ってみたら、普通の背の高いヒトになっていた。ケロリとした顔で20キロ痩せたと言う。なんというか、この変貌は、ホラーである。
聞けば転職時の休みにヒマだったので東京じゅうをママチャリで走ったら痩せたと言う。今でも日曜の午後などは都内(それも都心部)を6時間ほど走り狂うのだそうだ。墓山を知らないひとは、ケムール人が白昼堂々ものすごい勢いで自転車をこいでるところを思い描いてほしい。背格好と目の虚ろさはケムール人そっくりだ。髪型はウルトラマンレオに似てるが。
こうなるとどうにも止まらないらしく、コーヒーを頼んでも当たり前のように砂糖を抜くし、毎日2回体重計に乗って減ると嬉しいと真顔で呟く。これが、正月に遅れて飲み屋に入ってきた瞬間テーブルから文字通り溢れる量の肉と揚げ物を頼んだ男の11ヶ月後だ。あまりの量に愕然とし口をパクパクさせてたバイトの娘に何と言えばいいのだ我々は。肉体以上に人格も変わった。悪魔かおキツネ様の仕業に違いない。
しかし20キロ。芸能事務所に登録したら即マイクロダイエットの世界選手権で「こ〜んなに幸せになりましたっ」と言う役が貰えそうだが、不思議なことに彼は幸せそうに見えない。あるのは涅槃の仏のような、いつもどおりの墓山の顔である。いやそれこそが、墓山がこの狂気のダイエットで喪わなかった唯一のものなのかもしれない。
日曜の午後に池袋を怪走するママチャリの巨人をみかけたら、そっと手をあわせてやってほしい。憑いたキツネが落ちますように。ホトケの加護がありますように。