張り紙文明

gasoline2004-02-23


承前、張り紙や放送でモラルを宣伝するのは、日本だけじゃない。北アジア全体のことかと思う。
ソウルで新村あたりの、日本に比べたら少し道が汚いかなと思う繁華街を歩いていると、おおきなハングルの横断幕が掲げられている。なにかと思えば『道をきれいにしましょう』。日本だと原宿辺りの『キャッチセールスに注意しましょう』とか、国道の『スピード出しすぎに注意しましょう』と同じだ。
このノリの究極が大陸中国で、いまの国ができたばっかの頃は、赤い字の社会向上スローガンで一面うめつくされてたと聞く。共産主義がどうとかでなく、単純に『清潔に』とか『活気ある街を』とかだ。ちなみにウチの田舎に数年前できたモニュメントだかに彫られたスローガンは、『協労のまち』だった。21世紀に入ってよっぽど共産主義らしい。
こういうのはたぶん他のアジアでもアフリカでも、多かれ少なかれあるんだろう。政治体制も民族性も関係なく、ただその地域の為政者指導者が、人々を豊かにしたい、露骨に書けば欧米のような先進国になりたいという向上心を発露したとき、社会にスローガンはあふれるんじゃなかろか。
問題はいつのまにやら先進国になって何十年も経ってしまった日本が、いつまでこの習慣をキープするかだ。いやむしろキープすべきなのか。
この親切すぎる社会が、アジア的先進国の伝統なのかも知れない。文化大革命の残滓を見て、我々がなんとなくアーティスティックだと感じるように、ガイジンはベビーカー駆け込み禁止の手書き張り紙を見て、美と伝統を感じてるのかも。だいたい欧米人というのは(以下略:バカの壁に書いてあるかどうかも知りません)。

写真は大手町ビルの重なりその2