英語“くすぐり”講座

えー突発的ではありますが今回はシロウト英文における“くすぐり”について、坂田建悟の第二英語思考サブルーチン、ミッキー駒ケ岳さんにご教授願いたいと思います。ハロー、ミスター駒ケ岳。「ボンジョ〜ルノ」 ミスター駒ケ岳はインドネシア生まれの北京育ち、シベリア帰りのインド人です。

さて駒ケ岳さん、この“くすぐり”は、まあ所謂読んだ相手がこう、からだをくねっとさせてしまうコッパずかしい表現のことですね? 「ウィ。今回はズバリ、遠距離恋愛のふたりの為の表現アルヨ」 はい駒ケ岳さん。ワーホリなんかで英語圏の国に行って、語学学校なんかで同じく英語を習う別の国の異性と恋に落ちちまうのは、ありがちな例ですね。海外だけで終わらせようと思ったのに、帰国後もついついメールを出してしまうという。 「人間はパープリンな生き物アルよ。3回寝れば一生の恋人アル」 哀しい言葉ですね。それでまあ、お互いに下手な英語でコミュニケーションをとろうとするわけですが、英語のボキャや表現方法を知らないが為に、巧くキモチが伝わらないのよネ……。と嘆いている諸氏もおられることでしょう。 「そこが甘いッ! 表現力の無さは英語力の無さとは違うッ! 貴様の思考力の無さなのだ!」 いきなり怒鳴らないで下さい。

では例文いきましょう。 「ウィ。では“これって前にも話したっけ?” これ英訳するヨロシ」 はぁ。なんか色気もなんにもない文ですが? 「いいから早くしろ」 えっとじゃあ "Did I tell it before?" とか 「っ馬ー鹿!! そうじゃないアル! 肝心なのは距離が離れ時間も経ちつつある現在、いかに当時のメモリーを鮮明にキープしつづけるかでしょアルッ!?」 語尾が変ですよ。まあ確かに正鵠を得た意見です。英語表現においては、ここで単に "before" としているパートをもっと具体的な単語に置き換えることが容易にできるのですね。つまり、"Did I tell it when I was in XXX?" コレです。

XXXには二人が出会った地名が入ります。これは日本語に訳せば妙に回りくどいですし、英語でもちょっとヘンな言い回しですが、地名と "when" の使用で、かつて二人のいた場所・時間を思い出させるビビッドな文章になりました。これでいいでしょ駒ケ岳さん? 「ノンノンノンノンノンノンノ! まだ甘いアル! すなわち "I" しか使ってない時点でダメ! "YOU" も使うアル」 というと? 「正解はコレ! "Did I tell it when I was with you?"」

……うわあ。コッパずかしい。 「"I was with you" コレ以上簡易で、コレ以上ビビッドな表現は無いアル! 今は離れ離れだけどあの時は確かに一緒にいた! その事実をどーしよーもなく突きつける4単語アル! 腰骨にクるアル!」 どーでもいい1文が、見事に恋愛感情を掻き立てる囁きに変わってしまいました。いかがでしたでしょうか英語“くすぐり”講座。またのご覧をお待ちしております。 「ナマステ」