チベット仏教て、ヘンだ

アリー マクビールをぼけーと観てたが今回はかなり面白くないんでチャンネル変えたら、ニュージーランドのネパール系(?)移民から、チベット密教のリンポチェ・ラマの転生が出たっつうドキュメンタリをやってた。……ほんと?

肝心の選定までの過程を見逃しちゃったんだけど、確かチベット密教の活仏の転生ってのは、転生前の活仏の遺言に残された場所にいる子供を使者が探して、前世のことを憶えてるかどうか簡単なテストをして選定するんだよな。実際のところ、裏では何らかの政治的な取引か、それでなくても恣意が働く協議のようなものがあると思う。てニュージーランド移民から活仏を選んだのも、実はチベット密教を海外に広くアピールする狙いからきたのかもしれない……と、ついついチベット密教陰謀説を立てたくなったり。

ニュージーランド人を含むヨーロッパ人のチベット密教びいきは相当で、コメディダーマ&グレッグでは、ヒッピー親父が、「自分がダライ・ラマの転生なら善かったのに」と思ってたというネタがある。ユダヤ人なのに。そんなジョークでなくワリとシリアスに、アメリカの少年が活仏になってしまう映画があったし、医療ドラマ シカゴ・ホープ でも同じテーマのエピソードもあった。そんなフィクションを、現在アメリカテレビ界ではよくあることだけど、「現実世界が真似した」のかもしれない。海外から活仏を出せば絶対テレビに取り上げらて、各国視聴者の親近感を生むし、絶好の資金集めの機会に繋がる。カネの使用目的が聖であれ俗であれ。

んでもまあそんな陰謀説はさておき、選ばれてチベットに連れて行かれた少年は、結局それで幸せなのだろうか? 彼は兄弟と共に完全なニュージーランド人として生まれ育ったわけで、喋られる言葉は英語のみ。家にはテレビが、玩具があり、学校には友達がいる。自由がある。それを突然、「運命だ」言うて1万キロ彼方のインドに連れ去るつうのは……。まあ、一種の全寮制学校に入学したとも言えないことはないけど……どうよ?

5歳で定められた人生。彼は母親と高僧から義務と責任を諭され、おそらく今まで知りもしなかっただろうマオリ族の女王(居るんスよそういうヒトが)からニュージーランドの代表として「翡翠の棍」を渡され、数日後には言葉も通じない人々の前で手を合わせている。それを見た母親、複雑な表情で "I think, I am happy" とテレビに向かって言う……。微妙だ。テレビの作り方にも、実に微妙な迷いが見られるような。製作者はフツーのヨーロッパ人と同じように、チベット密教を支持しつつも、どこかで薄々「これは、ヘンだ」と気づいているんとちゃうか。

中国政府のチベットに対するダンアツとかは置いておくとしても、だ。あのチベット超大好き人権派の人々の描く「理想のチベット」つうのはどんなんなのか。ダライ・ラマポタラ宮に復帰し、チベット人民を導く国? でもそれってシステム的には、かつて人権ゼロのテロ国家とされたイランなんかの、イスラム宗教原理主義国家と同じとちがうんかなあ。それこそ逆に、チベット一般市民の「信仰の自由」はどうなるのん。

僕がいちばん気持ち悪いのが、チベットを支持する最たる人々が、自然保護活動をするヒトなんかと同じグループである、つうこと。チベット人はイルカやクジラじゃない。東洋の神秘にという勝手な幻想で宗教を愛護しないで、もう少し、同じ人間として、シリアスに公平に考えて欲しい。ニュージーランドの路上で署名を求めてる白人の顔を見ると、いつもそう思う。ちょっと呑気すぎじゃないのんアンタら、と。

メモ:チベット亡命政府の英語での呼称「ティベティアン・ガヴァメント・オヴ・エグザイル」(追放状態にあるチベット政府)。なんか響きがカッコイイ。


  • 朝シリアル。
  • 昼ミートパイ、安いヤツ。中身はスモークトフィッシュ。
  • 夜パスタ。