阿修羅見物

gasoline2009-04-11


きのうのこと。国立博物館興福寺の阿修羅像観に行ってきた。某おっさんとふたりで。

朝から素晴らしい天気。館内の桜を見ながらおっさんを待つ。平日の朝10時に入いればまだ空いてるかと思ったが、甘かった。もうジジババ軍団が行列をなしてる。それでも15分と待たなかったんだからいい方だと思うけど。

第一展示場に入ると、その混みっぷりは乗ってきたJRの方がよっぽどすいてたくらい。展示場最初のちっちゃな皿観るためにこんなに押し合いへしあいしようとは(土日に行かなくて良かった!)。まあルートも半ばの八部衆とかの神像(というか仏像というか)のあたりまで来ると、展示のスケールも大きくなるから、けっこう観られる。やっぱり迦楼羅像が眼を引くな。小首をかしげた表現がカッコいい。

意外と良い出来なのが、貸し出しポータブルプレーヤで聴く黒木瞳のナレーション。おっさん黒木瞳に興奮して500円払って借りたんだが、確かに聴きやすい声だし、鐘の展示のところでは実際の音も流してくれてこれは得した気分。4匹の竜をあしらった鐘は、広い居間なんかにあったら素敵だ。

そしてクライマックスの阿修羅像。黒木瞳の解説も心なしか心がこもり、またインド神話にまできちんと触れた良い解説文で盛り上がる。そしてまた激混み。広めに取られた展示スペースに、人が渦巻状に吸い寄せられ、ゆっくりと回転している。なんだかメッカの黒いご神体に群がるイスラム教徒みたいな……と思ったが、おっさん喩えるに「卵子に群がる精子」。的確さに愕然とする。

阿修羅は綺麗なガラの入った腰巻とかしちゃって意外とオシャレ。仏像と違い潤んだような瞳、唇を噛んだ顔がすごく人間的。解説から聞こえる彼の物語とあいまって、心に染み入るものがある。曰く、阿修羅ももともと正義の人だったんだけど、ライバルのインドラ(帝釈天)にどうしても勝てず、延々と戦っているうちに阿修羅道に入ってしまったんだと。ああ、なんか、そうなんだよな……人生。

第一展示場はこれで終わりだけど、第二展示も凄かった。運慶の四天王像が間近に見られる! さすがに凄い表現力だ。風になびく布の表現とか、ひとめみて感動する。しかもこちらはけっこうガラガラ。みんな阿修羅ばっかりに注目してこっちに運慶があるなんて気づいてなかったのかな? いや彫像としては、こっちの方が凄いよ。エエもん観たわ。

しかし考えてみれば、ジジババ誰も仏像に手を合わせてる人はいなかった。日常的な仏教信仰って、不思議だ。


おっさんと博物館の庭木を観、上野のコーヒーショップでくつろぎ、東京駅の寿司スタンドで寿司を食い(カンパチが美味かったが、マグロは残念水っぽい)、それから会社にひと仕事しに行った。

さんざ二人で話し合ったが、これ、デートだよな……。