英国王給仕人に乾杯!

共産チェコスロバキアで、僻地に飛ばされた男が同じく飛ばされた売春婦の裸を想像しながら、自分の半生を回想する――よし、ホテル王になるぞ! 仕事→セックス→棚ボタ→仕事→セックス→棚ボタ→仕事→セックス→棚ボタ→仕事→セックス→棚ボタ→牢屋→ビールが美味い!――おわり。なんなんだこの映画は。あとセックスのあとには必ず女体盛りが入ります。

しかしこれは楽しかった。チャン・イーモウの『活きる』をライトな方向にぐーっと引き寄せた感じ。人生の厭らしさ惨たらしさをギリギリ鬱にならない感触でびろーんと見せびらかしながら、その上でさわやかにコメディを続ける。主人公は一応、真面目に仕事してるんだが、それが報われて出世するんじゃなくて、なんかズルとか幸運でのし上がるのがなんともおかしい。そして最後、主人公が暗い牢獄の中で“金持ちの仲間入り”をしたときは、あまりに爽やかで泣き笑い、だった。

あと、“男”の“女”に対する視点が、率直にお下劣でありながら、とても美しい。古代ローマルネサンスの時代を受け継いできた“美”のありようを感じさせる、なんつったら考えすぎなんだろうな。逆にタイトルにつられコメディを求めて観に行った女性は、古臭い男の視点に、ヒくひともいるんじゃなかろか。



ところでこの映画、月曜の夜に日比谷シャンテで観てきたんだが、日比谷駅の階段を上がったらゴジラ像の向かいのビルがひとつなくなってて、かわりにガラス張りのコンテナハウスが置かれて、中で女のひとたちがヨガやってた。これは凄い。みんな丸の内の奇麗なおねえさん。階段のぼればヨガおねえさん。イスラムの国では禁止されてるところもあるというのに。あまりに住む世界が違うんで下々の者に見られても気にしないのか。