黒人の大統領が未来の空想だとしたら

こちらの日記を読んだ。
そうだよなあ。壁にかけられたテレビを見れば黒人の大統領、路地から空を見上げればガラス張りの超高層。音もなく走り回る電気自動車タクシーに乗ると、後部座席にもモニタがついていて下世話な宣伝やモラル広告が流れてる。運転手は人工衛星を利用した電子地図に現れるリアルタイム位置情報でクルマを走らせ、その間乗客は膝の上に広げた小型コンピュータで2010年度の予算計画を確認し、小型通信機で上司と連絡を取っている。いまはそんな未来世界だ。
いや、ひょっとしてこの世界は、ほんとうに“未来世界”じゃないのか? 例えば1980年代に生きてる誰かの脳内に空想された、仮想世界じゃないのか? いま生きていると自覚する僕自身は、実は、子供時代の僕の、空想の一部じゃないのか?
1988年の僕が未来の様子を想像しようとした瞬間、その想像を成立させ、正当化し、リアリティを与えるためだけに、実は脳の使われていないと思われている領域で莫大な量の演繹が静かに始まり、本人が知覚することなく、脳裏に精密な未来世界が一瞬で構築されていたとしたら? その空想世界の中に、いまこれを書いている僕も組み込まれていたとしたら……? ああ! いま観測問題に終止符が打たれた! 時間に意味はなくなった! 僕は神か……!



ほんと残業はするもんじゃないな。早くメシ食って寝よう。