Google ストリートビュー

みんな大喜びかと思ったらなんだかネットじゃプライバシーだモラルだ、反対意見たっぷりでちょっとびっくり。大丈夫だよ第二世代になったらヒトもクルマも消えるようになるよ未来の第一歩を消そうとするなよ。

いや確かにふと恐いかな、と思うたわ。泥棒がネット上のある購買履歴名簿とある個人情報名簿を繋ぎ合わせて、その中の住所情報からグーグルストリートビューを関連付ける簡単なアプリがどっかにあって、そんで犯罪実行条件に合う家のまわりをぐるっと検索して「ふーんこの家の3ヶ月前の雰囲気はこんなかんじか、ふむふむこの塀は乗り越えられそうだ」なんて考えてるなら。

でもそれってコストにあうのかな。だいたい仮にそんなことする巨大な窃盗組織みたいなものがあったとして、別にGoogleが無くても同様なことは実現出来ちゃうような気がするけど。

ストリートビューは今んとこ写真を繋ぎ合わせただけの、単なる巨大な非構造化データの塊であるわけで、これが住所以外にもっとメタデータがくっついて今すぐ「白いセダンのある家」で検索できるようになれば、まあビビるのも仕方ないと思うけどね。でも、本心ではむしろそこまでできるようになって欲しいとも思ってる。次の世代のストリートビューは、完全に3次元情報として町並みを保持して欲しい。



もはや死を待つだけの祖父を見舞って、ふと、あの病室からストリートビューでいま僕が東京でどんなところに住んでるか見せてあげられたらと思ったけれど、病室にブロードバンド環境もないし、モニタを見るだけの視力も気力も衰えてるのだろうと思った。

祖父は手は震え口も利けず、目も耳も衰えてゆくが、ボケていない。脳への血量は減って思考速度はスローダウンしているだろうが、明晰なのだ。あらゆる状況を理解しているのだ。その場にいられないぐらい辛い。

帰りの車で、本気で、脳からコンピュータ環境へ直接アクセスできたらと考えている自分に驚いた。本気で、VR環境を映せるメガネをかけて、脳で操作できたら、どんなに楽しいことかと。“電脳空間”なんて響きからして下らんマンガチックだと思ってたし、まあ宇宙開発とおんなじレベルでこういう未来がきたらイイナと思ってた。その程度だったのに、いま、VRとかARは、本気でほしい。あんな苦しい思いをしなくてすむのなら。

現代医療では、たぶんこういう思いをしている人が、たくさんいるだろう。だから、医療技術が進むのに近い感覚で、人間/コンピュータのインタフェースと、仮想現実や強化現実の開発は進むと思いたい。切実に。AR環境の社会への実装が医療現場から進むというのは、すごく確度の高い未来予測なのではないかと思える。

病室の白い天井しか見られない人々に、仮想でいいから、外の世界を歩く自由を取り戻させてあげたい。今更『電脳コイル』に影響されすぎ? そうかもしれないけど、心底思う。