スタートレック:ヴォイジャー 第6シーズン12話『超進化惑星の煌き』

スーパードラマTVのベルト放送をマジメに追いかけて観ている。実はこれだけスタートレックマニアをやっときながら、ヴォイジャーは後半シーズンまだ未見のエピソードも多いのだ。第3シーズンになってもなかなか面白いエピソードが増えず半ば諦めてたせいもあるけど、ファンとして怠慢だよな。

で、ヴォイジャーの後半のシーズンは前半よりも高い確率で、面白いエピソードに当たるような気がする。このエピソードもそうだ。

――ヴォイジャーはドーナツ状に扁平した奇妙な惑星を発見する。この惑星はタキオン凝縮体(笑うなっ!)と思しき物質を核に抱えており、惑星両極から発生する亜空間量子場の中では、時間の速度が外界に比べ1万-10万倍のオーダーで異なっていた。艦はその強力な重力傾斜に落ち込み、脱出できないどころか自らが第3の極と化してしまう。一方、時間流が速い以外は通常のM型惑星と変わらない惑星地表では(気にするな! 細かいことは気にするな!)、通常のヒューマノイドが青銅器レベルの文明を持っており、突如現れた“星”と、それが引き起こす地震が、科学技術文化発達の引き金となっていた。そして時は文字通り瞬く間に流れ――

ずばり、フォワードの『竜の卵』のパクリである。無論、テレビ作品としてはアワビ型異星人では絵にならないし、中性子星表面でガチガチのハードSFをやる余裕もないので、タキオンという便利素粒子をつかってごまかしてるが、感動の本質は変わらない。まさしくSF的な感動がある。

ただし、この時間の差異をネタとした“世代を超えたコンタクト”という発想自体、スタートレックで繰り返されてきたものだ。TNGエミー賞受賞という最高評価を得た『超時空カターン』がまさにそれだし、ヴォイジャー自身も、以前に『700年後の目撃者』という名エピソードを送り出している。それらに比べると、たとえば演出のテンポや、BGMなどでも、少し弱いのではないかと思える部分もある。しかし今回それを措いても嬉しかったのは、舞台背景そのものが(タキオンとは言え)まっとうにSFしてて、絵的にも『重力の使命』を再現、ストーリーも正当SFという、“純SF”的なエピソードだったことだ。

多様なテーマ、多様な感動の源泉を抱えているスタートレックだけど、きちんとこうやって「単なるお話とは何か違う面白さ」を提供してくれる。テレビSFシリーズとして、とても価値ある事だと思う。