バトルスター・ギャラクティカ シーズン1-10『聖なる予言』

ネタバレ。観るまで絶対開かぬよう。


DVDボックスのコメンタリで“ビッグ・マック”と呼ばれてたエピソード。早い、美味い、ここ数話の展開で飢えたハラを満たしてくれるわけ。

  • この世界での“ダイリチウム”にあたる "Tylium"は、“ティリウム”とせずに“チリューム”と表記。なんか昭和SF的な響きだな、“スペシューム”とか。オリジナル・シリーズでそう呼ばれてたのかな。Googleで引くと、“リチウム”の書き間違いで“チリウム”と書いちゃってるヒトが多い。……まさかとは思うけど、“チリウム”の4文字に対して“チリューム”だと長音記号抜きで3.5文字扱いとなるから? そこまで字数を節約するか?
  • 話の展開が速く、冒頭から3分で完全にミリタリーモードに。ここでドラマを作るのが、今までずっと引っ張ってきたスターバックの足の骨折。単にリアリティの為でなく、このエピソードを盛り上げるために彼女の足をそのままにしてたわけだ。しかしほんと会話劇のテンポが速い。
  • どーでもいいけど、艦隊の戦闘服ってヒップのラインが綺麗にでるな。梯子を上るアガソン大尉のケツが……。
  • ステロイドの中にジャンプアウトするギャラクティカ。ぐんぐんテンポが上がってきた! 大きなアナログ戦略地図(戦闘機の模型が乗ったやつ)を凝視する司令、その一段後ろに腕を組む大統領。この立体構成が美しい。両方ともメガネなのもポイント高い。そしてスターバックの制服姿がカッコ良すぎる。
  • ほとんど序章以来の本格的な大規模戦闘。CGIで描かれる戦闘シーンが個々のバイパーパイロットの恐怖を映し出すのに対して、静寂に包まれた作戦室の古風な2次元の戦略地図が、全体の戦況の緊迫感を抉り出す。ギャラクティカBGMの片翼であるオリエンタル・パーカッションがガンガン鳴りまくる。
  • スターバックから命令を指示されるゲータの口元のセクシーなこと! そしてキタ! 戦略地図を映すカメラがグルッと転地反転し、そのまま宇宙空間を飛ぶバイパーにダブる。あえてSFに古風な2次元戦略地図を持ち込んだ理由がここにある。ダイナミックに変化する戦況をこのカメラワークが的確に示しだす。
  • で、こっからはもう完全にSFX戦闘全開。奥行きのあるダイナミックなカメラワークが冴えまくる。もうどうぞゲームにして下さいってビジュアル満載(トンネルの描写はちょっとやりすぎ)。たしか衛星上を飛ぶバイパーの絵はオリジナル・シリーズのオマージュだよな。
  • しかしこの小惑星の重力はどうなってんでしょう。バイパーと、バイパーの落とす爆弾にかかってる引力は明らかに違う。
  • ガッチリと手を結ぶ司令と副長、涙ぐんでつっぷすゲータ、思わず抱き合う大統領とスターバック、そして眼鏡をかける艦長の濡れた瞳。そして祝祭が始まる。ここでギャラクティカBGMのもう一方の翼、スコットランドのパイプが鳴り響くわけ。わかっちゃいるけど、泣くだろコレ。

そんなわけで異常なまでの集中力を持った演出で一瞬にも2時間にも感じたエピソード。もう満腹。次回は政治です。