バトルスター・ギャラクティカ:シーズン1-8『神がみちびくもの』

ネタバレ。


――かつてアダマ艦長を窮地に追い込んだ人型サイロンのコピーが民間船の一隻で見つかり、尋問のためスターバックが向かう。しかし狡猾なサイロンは、艦隊のどこかに爆弾を仕掛けたと語り、艦隊を混乱に陥れる。そして、スターバックとサイロンの長い対話と、拷問が始まる――

  • 冒頭の大統領の夢はかなり“ほんものの夢”っぽい構成で秀逸。“白い服をまとい裸足で森を走る中年女性”って凄い状況なんだけど違和感が無い。
  • ジェミノン・トラベラーは海洋船舶のクルーザーをそのまま宇宙に飛ばしたようなデザイン。どうでもいいけど、“宇宙船”とは言っても“宇宙船舶”って聞かないコトバだな……。
  • 尋問シーン。形而上学的な議論をふっかけようとするサイロンの捕虜に、“メシを食う”という動物的な行為で優位に立つスターバック。そして拷問。これはクールな展開。
  • ブーマーの出身は星座にちなんだ12惑星でなく、鉱山惑星“トロイ”。コボルの文明圏は12惑星外にも広がってるんだな。
  • しかし結構凄いのが、このジェミノン・トラベラーの拷問室のセット、まともに見ればただの倉庫にちょっと毛を生やしたようなセット(ロケ?)だ。ブリッジも暗がりにモニタが置いてある程度。以前出てきた囚人護送船アストラル・クイーンや、コロニアル・ワンの格納庫なんて、ありゃ完全に倉庫だった。でもどんなSFテレビシリーズより、宇宙船らしく見える。セットを作れば作るほど安っぽく見えてなおかつコストがかかる問題を、逆転の手法で成功したわけだ。隅々まで行き届いたリアリズムの勝利か。
  • 人間性の排除」という言葉。原語では dehumanized. これがサイロンの口から出る皮肉。
  • そして締めもロズリン大統領! カッコ良すぎる!

ガラス越しに触れたサイロンと人間の手が、真空によって引き裂かれる。さあこれで、サイロンとは何か、人間とは何かを探るインナースペース3部作はおわり。次回はコメディです。