バトルスター・ギャラクティカ シーズン1-4『悔恨の祈り』

エピソード番号については、epguides.comによれば通算第8話なんですが(序章が4エピソード扱い)、ややこしいんで表記をやめます。以下ネ・タ・バ・レ!


――ラプターパイロット、サウンダース中尉の1000回目の着艦記念は、通信ドローン・ロケットの暴発事故により惨劇と化した。13名の犠牲者を出し、誰もが責任を感じる中、アダマ艦長はカーラに補充パイロットの育成を命じる。しかし彼女には、飛行教官として克服できずにいる過去があった――


前後編エピソードの前編。いきなりスターバック(カーラ)の大気圏突入シーンがフラッシュバック(この場合フラッシュフォワードなのか?)されて、これはアレ、まさに“ガンダム”の実写版てとこ。久々の戦闘シーンも燃えるんだけど、キャラクターの内面を掘り下げるエピソードとして見ごたえがある。以下箇条書きで。

  • 物語の発端が“金属疲労”というのは、よく考えてみればテレビSFの歴史の中でも革命的なことじゃあないだろうか。異星人の仕業でもコンピュータの反乱でも謎の放射線の影響でもなく、どこにでも起こりうる金属疲労というこの現実感を、これまでのテレビSFは持ちえていなかった(これはBattlestar Wikiでも指摘されてる)。
  • アダマ艦長のアップがたっぷり。陰影の深いライティングで、表情変化がこってり楽しめる。カーラの告白を聴くシーンはリアリズムあふれる演技の絶頂。また髪を掻き毟りながら出てゆくカーラの、その仕草も素晴らしい。
  • 出番は少ないがタイ副長のCICでの無駄なお喋りも、キャラが出ていて楽しい。脳天気にカーラをほめるタイとか、ヌードルを食べるタイとか、酒の量を測るタイとか、奴の仕草のキュート&セクシーさは異常。
  • ロズリン大統領は今回“女性”の役。自分の体という思い切りプライベートなところの話をする彼女の口調にほほえましさを感じつつ、その表情に息の詰まりそうな切実さを感じる。今後彼女と絡むことが多くなる艦医のコトルがまた渋い! 医師のクセにくわえタバコってキャラ立ちすぎだろ。
  • 事故の原因となった“ドローン”はミサイルとは違うんだけど、字幕だけではちょっとわかりづらい。英語じゃ“コンドーム”と聞こえて(腐れ耳が!)、なんか隠語かと思ったけど、これ "Comm Drone"、つまり通信ドローン。ラプターから発射して通信範囲を広げる為に使うらしい。よくラプターが発射するデコイの“ツバメ”ともデザインが違う。
  • 今回1000回目の着艦記念だったのは、ドワイト“フラット・トップ”サウンダース中尉。尺の都合上字幕には乗らなかったけど、艦内放送でそう呼ばれてる。実は前回のエピソードでも、彼は囚人護送船アストラル・クイーン号に取り付くラプターパイロットとして出てるんだけど、ネームタグには“ライアン・シスコ”と書かれていたとか……。脇役だしね。
  • ちょっと重箱つつきたくなるのが、バイパーの戦闘と、この衛星大気圏突入の整合性。つうか距離。ギャラクティカは依然として水資源衛星のある木星型惑星の近傍(衛星の周回軌道じゃなさそうだし、惑星と衛星のラグランジュ点かどっかか?)にいるハズなんだけど、スターバックの落ちる赤い大気のある衛星は水資源衛星とは違う月だ。ギャラクティカから2分の位置でドンパチやってたのが、次の瞬間にはこの衛星の重力圏に捉まってるのは、ちょっと不思議。まあコアなハードSFでない限り、推進剤と推力、軌道について文句言い始めたらキリがないつうことなんだけど。
  • 数で劣勢だったのが意外とすんなり敵を殲滅つうのも個人的には少しアレだ。せっかく木星型惑星にリングがあったんだから、どうせならリングを使って罠をしかけて勝ったものの、逆にコースが維持できなくなり衛星の方向に流される……みたいなシーンが観たかった。ないものねだり。

次回、もっと不思議がおこります。