奴隷たちの箱舟が洪水のあとに作る社会は

JRRマーティンのSF『タフの箱舟』で、極度の食糧不足から“カロリー”を通貨単位とする殖民惑星が出てきたけど、だったら「人日」が通貨単位となる世界というのもできるんじゃないか。
今風のSFで考えれば、他星系に植民するぐらいの人類文明はとうぜんコルヌコピアよろしく物質変換・製造機を持ってるから、あらゆる製品はコモディティ化して価値を持たない。価値が出るのはそれを使う人間だけだ。で、惑星環境の地球化は、専門技能を持ったエコシステム・エンジニア集団によって行われるだろう。その工程管理とコストは“とうぜん”エンジニア1人の時間あたりの仕事量を基準にした単位で細かくコントロールされるわけ。そんな彼らが、植民地完成後そのまま惑星の支配者層にスライドすれば……。
人日通貨価値は国ではなく、社会層によって異なる。上流階級の1人日は下請け階級の5人日である(やだなあ)。為替市場が健全に発達すれば、為替レートは社会層でもなく個人に帰属し、個人の能力がそのまま流通する超資本主義社会が来る。為替が破綻すれば、誰がどんな仕事をしようが得られる対価は同じ超共産主義社会が、為替投資ブームが到来すれば、ペテン師=即金持ちの超泥棒社会がやってくる。