ザ・シンプソンズ 映画版吹き替え問題

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いちおう海外ドラママニアとして第1〜第11シーズンぐらいまではキッチリ観てるんで、いろいろ思うところはあるんですが、所ジョージがキレて帰ったつう件は、本人の仕事に対するスタンスもさることながら、FOXの演出側にも相当問題があるんじゃなかろかむにゃむにゃ。

これだけの情報で犯人探しをするのもアホらしいけれども、大作映画になると海外本社から派遣されてくる、日本語の言語的特性や文化背景なんぞこれっぽっちも知らないクライアント/お目付け役様の注文がけっこうデタラメで(ヒドいと英語訛りの日本語で喋れと平然と言うらしい)、演出家が板ばさみになって泣いたり、プロの声優であってもキレて帰ったりというのは、わりと良く聞く話。今回もそんなケースじゃないのかなーというニオイがする。
日英両言語に通じたベッキーも切れてたつうぐらいだから、相当ムチャな日本語だったんじゃないですかね? だったら大平さんのような日本語のプロである声優こそ、キレて帰る場面だったのかもしれない。そう思うと、所ジョージの行動もそんなに軽率なものじゃなかったんじゃなかろかと思えるわけ。

……えー、ここまで書いといてアレですが、わたくしにはどんなにヘンテコな演出をされても、貴重な海外ドラマを国内CSチャネルに流通させてくれる日本FOX様に文句を言う事なんてできまへん。つうわけでやっぱり見ててツラいのは、所ジョージでなく、そういうキャスティングにせざるを得なかった日本のマーケットだなあ(日和った)。本当ならシンプソンズも、そのほかの多様で良質な海外ドラマも、どんどん日本に入って放送されてれば、この映画も声優業界もこんなツラい状況にならずに済んだのに、かなしいかな世界第2位のテレビ大国は、自分たちだけで市場を満たす製作能力がついてしまったばっかりに、国外作品を不要として、閉じこもってしまった。おかげで、国籍を問わず本当に面白い物、日本人以外は世界中で観ている良い物を、日本だけが拒み、あげく今回のように再上陸させようとするには、タレントの力を借りるような、ムチャなパワーが必要になってしまった。

今となっては、少しでも多くの人がシンプソンズを観て、海外テレビの復権の糧となってくれること、それからDVDリリースではオリジナル・キャスト版も収録されることを祈るばかり。