新富町 みづほ

外食で積極的に食べないアジフライを頼んでみた。
社食なんかの開いたしっぽ付きのヤツでなく、大ぶりで厚い、三枚におろした身が3切れ、つまり1.5匹ぶん乗ってきた。そうかちゃんとした外の店なら、こういうのが出てくるもんなんだな。ソースをかけすぎないよう慎重にたたたっとふって、箸でちぎらずそのまま一切れ口に運ぶ。
ザクッとした衣のタッチの中には、固めた雪のような感触の肉がある。ほろほろっと、歯が通ってはなれてゆく。あつあつほっこりで、さらさら溶けるような白身。これは美味い!
アジの個性的な味は、ここでは熱と油に調和して、清廉淡泊なんとも上品な白い味となる。まるで何もないような白さなのに、確かに味がある。薄い皮やほんの少しの血合いの苦味が、その存在を証明している。魚自身の油を意識することはなかったけれど、あのまろやかさは豊かな油だったのかもしれない。小骨は一切なく、サクサクと食が進み、一口ごとに豊かな気持ちになる。
アジフライを食べ歩いたわけではないから、実は肉厚なだけで輸入の安い半加工品なのかもしれない。でもそれならそれで、素晴らしい料理の腕だ(まあそもそも海外で水揚げされた魚が不味いという理由も無いわけだし)。
また食べたくなる良いフライだった。付け合わせのもやしのナムル風も、淡泊な魚料理の中でゴマ油がちょうど良いアクセントになって、ベストマッチだ。味噌がちょっと弱いけど、700円で大満足。食べに来てよかった。
写真は関係ないが、勝どきのマンション。邪悪な雰囲気。