グエムル-漢江の怪物

観てきた。ポン・ジュノせんせいもなかなかの変態ですね。手段のためには目的を選ばないというか、やりたいほうだい見せたい絵をみんな詰め込んで、おなかいっぱいです。

怪獣は触手だけとか、もっと奥ゆかしい見せ方で現代社会と家族愛をみっちり書くのかと思えばさにあらず。いきなし怪獣大暴れ。そのあとはなんと親兄弟で4人パーティ組んで怪獣倒し囚われの娘を救い出す、RPGになります。すばらしい。売店一家の次女がアーチェリーの銅メダリストってヘンな設定だと思ってたら、武器に弓矢を使わせたかったのね。ほんと結果の絵が全てだ。

怪獣造形も抜かりなく、ニュージーランドのWETA(『ヘラクレス』『ジナ』『ロード・オブ・ザリング』)製作。帰りがけに寄ったスーパーで魚が買えなかったぐらいの不気味さ。日本でもこのくらいリキ入れて怪獣作れるようになってほしいもんだ。

殺人の追憶』で見せたユーモアセンスは更に磨きがかかり、葬式シーンは大爆笑。怪獣襲撃シーンの絶望的な緊迫感と、不完全家族の織り成す社会派(?)ギャグが交互にあらわれ、まったく飽きない。次にどんな恐怖とどんな笑い、そしてどんなオチが来るのか本当に予想がつかなくて、クライマックスはホント乗り出して見入ってしまった。

スピルバーグ先生の『宇宙戦争』に続き、日本ではもはや絶対観られない“怪獣映画”を見せていただきました。


ところでどうも日本語だと“エ-ムル”が言いづらいようで、チケットのねえさんにもグエ“ルム”ですねとわざわざ修正された。タイトルの意味は怪物の韓国語発音。怪(くぇ)物(む)。漢字で考えりゃ頭に入りやすいんだけど。