シンギュラリティ・スカイ

ちょっと前に読み終ってたしかに楽しかったんだけど、どこか違う。なんとなく物足りない。なんでだろ。
なんとなくだけど、冒頭で電話の雨を降らせてコイツはSFでっせーとヒラヒラ旗をふってくれるのが、逆にウザかったのかもしれない。ロシア的な舞台設定も漫画じみてて、イマイチ世界に重力を感じない。ああいうシンギュラリティ後の突拍子もない風景に、しっかりした現実感を与えるには、少し薄いか、表現力が足りないか。いや楽しかったけど。
さておき、ギブスンや、ブリン先生の『ガイア』とかとちがって、インターネットが社会に普及してから書かれたSFは、未来の人類世界ネットワークのボキャブラリが現在のインターネットのソレと繋がってて、それはささやかに面白い。情報知性体に対する宇宙戦争の攻撃手段がDoS攻撃だったりして、なるほどそりゃそうだと妙に納得したり。
いまあるインターネットの構造は、どこまでスケーラブルなんだろう。別の星にヒトが移住しても、インターネットは the Internet のままなのかな。
たとえば……銀河のどこかにあるという、十三のルート・サーバ。そこには、宇宙に離散していった人類の全ての居場所が記録され、それを見たものは、文字どおり人類のルーツを知ることができるという……(ここでファンファーレ)。