4:30(フォーサーティ)

シンガポールロイストン・タン監督作品。中華系の少年と、言葉の通じない韓国系の青年のふたりきりの共同生活を描く。

大陸系の母と韓国系の父の間に生まれたと思しき少年は、北京にいる母の代わりに現れた「叔父」の韓国人に、父親を求めようとする。元来孤独であった少年と、自殺願望の韓国人のぎこちない、いたいたしいコミュニケーション(コミュニケーションといえないぐらいの、ほんのふれあい)が続き、そして韓国人はいなくなり、また孤独が現れる。

コミュニケーションがマトモに取れない事が映画の主題なんだから、物語がおおきくデベロップすることもなく、長く細かい描写の積み重ねで時間だけが流れてゆく。93分がとても長い、静かな静かな映画。

ひとつ興味深かったのが、少年と青年の触れ合いが、時に非常に肉体関係を思わせるように見えたこと。少年の肌はまるで女性のようで、そこに青年の浅黒い腕がすっと伸びてくると、親子というより、恋人同士のインモラルな艶かしさを感じさせる。ここに作者は何を示したかったのか。個人的にはあまり納得できないままだった。

もう一本観たんだが、後日。