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字幕:鈴木真理
いやーすばらしい! こんな演出だったなんて思いもよらなかった。嬉しい不意打ちだ。
例えるなら『ER』の緊急オペや『NYPDブルー』の銃撃戦の緊迫感が2時間ずっと続く感じ。リアルタイムっぽさを演出し一部は画面分割で見せるところは『24』風味。90年代テレビのクィーキネスの進化の頂点が、映画に奪れたようだ。
あんまりテレビシリーズを例に出すと失礼だが、オープニングシークエンスは、『ブルックリン・サウス』のプレミアエピソードを思い出した。いきなり超高密度の銃撃戦をワンカット撮影で見せる。香港の下町をゆっくりとカメラが動き、二階から落ちた新聞紙をスムースに追い掛けたときは、おっ、巧く合成してるなと思ったが、その後もずっとカットされる事なくカメラは動きまわり、これがSFXでなく緻密に計算されたステディカム撮影であることがわかる。カメラにあわせて場の緊迫感もリニアに高まり、始まる銃撃戦。しかしカットは一切切れない。銃声も切れない。息も切れない。集中力あがりっぱなしの映像がまるで永遠のように続く。
これで魂が持ってかれないわけがない。その魅力に思わず身をのりだし、シーンが5分も続いた頃には、なんだかこんな映像を観れた嬉しさに自然と笑顔になってきた。緊迫感と笑顔の同居。素晴らしい。
こないだのイエスタディ・ワンスモアも良かったが、こちらも観に来てよかった。池袋シネリーブルの夜の香港映画は見逃せませんな。