小川町

gasoline2004-11-15


ふーきょうもインチキと涙目と目を開けたまま眠る必殺技でなんとか乗り切ったわ。
木場へ行くタクシーで通った相生橋から見える夜景が綺麗でさ、同乗者がいなきゃ途中下車して欄干で風に吹かれてるよ。ああ、なんて美しい。すると隣の彼女がさして興味なさげに「そう?」なんて言うから、僕はとても理論的に、かつ感情豊かに、かつ簡潔に、この人のつくりし大地の美を説明する。彼女はまた「そう」とつぶやく。でも僕には彼女が感動を分かち合い始めたのがわかる。なぜなら彼女はその小さな頭を、僕の肩にあずけたから。ぽわーん。クソッあがりが8時台だと妄想も弾むわ。
普段帰宅して0時をまわる時は、何かを妄想することも、書き残す事もなく、ただ眠る。その喪われたちからは、ひと月後にカネになって、浪費する力になって帰ってくる。
そしていま、僕はその浪費するちからで、小川町の小さなタイ料理屋に入り、ハウスワインに生春巻きを食べている。向かいの席に彼女を妄想することもなく。現実の自分に感動を簡潔に表現する能力などありはしない事を知りつつ。