裸足の1500マイル

オーストラリア映画。前世紀前半の人種隔離政策時代にあった、ほんとうのおはなし。アボリジニの白人化のための再教育施設に隔離された少女3人が、母親のもとへとひたすら歩いてゆく物語。映画としては、淡々としたロードムービー。個人的には、途中3人をかくまってくれたアボリジニのおねえさんが、じつはご主人様にレイプされていたという事実を暗に示すシーンでの、おねえさんの演技にぐっときた。あとは当然ながら、いちばん年下の女のこのカワイさ。首から下すげかえればそのままモデルかってぐらい、みりょく的なかおだち。

ニュージーランドという、豪州にちかい国でくらすと、この映画のなかみが、いまでもまだまだ現実的な問題なんだとかんじられるときがおおい。映画のなかの白人は、この隔離政策はほんとうにアボリジニのためなのだと思いこんだ、揺るぎない正義のひょうじょうをしている。いまでも、オーストラリアやニュージーランドでは「たしかにあの政策はゆきすぎだったけど、それでも我々が彼らを文明化してあげたのは確かなことだ」という主張をナチュラルにする人はいがいと多い。われわれがここに来なければ、彼らはいまでも石器時代とおなじ暮らしをしていた、と。

これは植民地を持った国家にはどこでもあることで、とうぜん日本にも、「おくれたアジアの国々を文明化して、鉄道や電気や教育制度をタダでもたらしてあげたんだから……」って、そういう正義と善のありかたを強調するひとが、けっこういる。

たしかにそう言いきりたくなる気分も、わかるんだけど……、なんか、かなしいというか、つらいんだよな。ほんとうに、報われない善行ってかんじで。そんなわけで、この日記の内容はきのうの日記とリンクするのでした。