香港から来た愛すべきアホども

朝8時ごろ某香港人にたたき起こされた。彼の出場する『オークランド日本語弁論大会』に、ついて来て欲しい、と。彼のスピーチには僕は草稿段階から携わっていて、前日も密かに発音特訓をしていたんだけど……土曜の朝8時。もおええやんけなあ十分練習したやろこっちきのう寝たの4時やん眠いわかなわんわあ、と言っても通じず、拉致同然で車に乗せられた。朝日で目が蒸発するかと思った。

大会、と言ってもそれは小国ニュージーランドのこと、ひどく小さくアットホームな雰囲気で行われる。会場は毎年参加校である大学・専門学校の持ちまわりらしく、今年は AIS という専門学校だった。これがまた妙なところで第3レベルの教育機関なのに中学高校のような木造平屋の校舎をもち、カフェに入ったらまるで語学学校のようにな雰囲気。英語が出来ないひとが多いのか? だいたい Auckland Institute of Study(オークランド勉強専門学校)ってどういう名前じゃ。

香港人の参加するのは中級カテゴリ。全体で20人がいくつかの学校から参加し、ウチの大学からも数人、そのうち香港人は3人の参加となった。他の学校の生徒の発表を聞くと、インターネット問題、ドラッグの恐怖、ジェネレーションギャップ、男女平等の実現など、おしなべて生真面目な、社会的なテーマのスピーチだ。なんだかだんだん不安になってきた。某香港人のスピーチは大丈夫なのか。そして我が大学の香港人軍団の番がきた。

その1.アイドルグループ・スピード「ぼくワ、すぴどノー、解散ヲー知テ、トテモトテモ悲シカタデスー!」

その2.いろいろな国のファッション「日本人ワー、ミンナ髪ヲ金髪ニソメテマスー。韓国人ワー、ユタリトシタ服ガ好キデスー。香港人ワー、日本人ノ真似ヲシマスー」

その3.女性万歳「ぼくワー、生マレカワタラ、女性ニーナテ、オ弁当ヲ、毎日毎日、作リタイデッス!」

あんたたちどうしてそろいも揃ってこんなテーマなの!? 場の雰囲気からハズれまくり!

基本的に、生活に余裕が有ればあるほど、笑いの質も上がりってくる。こういう表現はちょっとアレだけど、アジアでは香港人は日本人に次いで、「余裕のある」人々であるし、ウチの大学生は他の命かけて日本語学習一本槍の専門学校生より、「余裕がある」。だからこそ、ヤツラだけがこの小さくとも名誉ある日本語弁論大会で、フザけたスピーチをかましえたのかもしれない。ちなみに僕が特訓したスピーチは「女性万歳」。彼とファッションのスピーチをした娘は、特別賞を受賞していた。しっかりウケていたのである。ある意味いちばん高度な賞かもしれん。


  • 朝クッキー。
  • 昼韓国ラーメン。
  • 夜パスタ。