ダメージ;監査法人;ボストン・リーガル

テレビでは『ダメージ』が終わってしまった。NHK-BS2で放送されていた企業訴訟サスペンスのミニシリーズ。これまで一度も書かなかったが、久々に、こういうドラマを観ないヤツは人生損してると叫びたくなる作品だった。偏狭に。

こういうことを書くこと自体セクシズムになりそうだが、弁護士キャリアの女性2人を主人公にして、決して従来の女性的な情念ドロドロに陥らず、また男性視聴者向けのセックスアピールもなしに……つまり、“女だから”という従来的な何かを使わず、ドライでシビアな丁々発止のやりとりで話を盛り上げてゆくのには、ほとほと感心した。かといって、このドラマを男性2人で再構築しても、同じ作品にはできなかったと思う。

NHK-Gの土曜ドラマ監査法人』は、いま一歩『ハゲタカ』を超えられなかったという思いが強い。2000年代前半の企業監査にまつわる社会情勢をなぞっただけで、平坦だった。『ハゲタカ』は、最終回で主人公の贖罪の物語であったというテーマがストンと胸に落ちてきたが、今回は若い主人公が成長する物語で、それだけでは物語に重力が足りなかった。周辺を彩るキャラクターも、けっきょくは一過性のゲストキャラにしかならなかった(場面々々ではみな素晴らしい演技を見せるのだが)。特に女性会計士の扱いはひどかった。群像劇として深みを出せないのがもったいない。

やはりこのストーリーで1シーズン20話を作るだけの総合力が、日本のテレビ業界になければ、せんのないことだろう。

FOXスタンダードチャネルに落ちてきた『ボストン・リーガル』は第2シーズンも終わったが、相変わらずの完成度だ。観始めた頃は、企業訴訟テーマにアタッチしてゆかないところにもどかしさを感じていたが、もっと大きな“国家の問題”にかかわる裁判をテーマとして巧妙に取り込んでいる。あっ軽い作劇でアメリカ政府の人権政策を架空の裁判で裁き、問題提起してゆく。決して暗く、重くならない。面白い。

シーズンフィナーレは、スタートレック:ヴォイジャーのセブン・オブ・ナイン役でレギュラーだったジェリ・ライアンがゲストスターで、カーク艦長役のウィリアム・シャトナー(本作では共和党よりの重鎮弁護士)から色目を使われている。