思い出話

先日韓国料理屋で久々に焼酎(ソジュ)をカポカポ飲んでたら、急に大して面白くもないドラッグ系の笑い話を思い出した。もっとも記憶がずいぶん劣化していて、その話を誰から聞いたのかもわからない。日本人から聞いたのかガイジンから聞いたのか、あるいは僕の夢が仕立て上げた作り話かもしれない。ま、何であれ10年前のコト。もう書いても時効だろう。そういう文化があったという記録として。

ニュージーランドってのはマリファナを個人が吸うのは別に悪くない国だった。体に害がある無いでいえば、タバコの方が悪いわけで、あれを路上で吸ってはいけないのは、酒を路上で飲んではいけないのと同じぐらいの理由だった。僕は根性無しだったから、タバコも吸わなきゃマリファナも吸わなかったけど、大学で普通に昼夜生活してれば、でかいビニール袋に乾燥大麻をつめて闊歩する緑のサンタクロースみたいなヒトも見たし、コーラの空き缶を水タバコ用に改造する技なんかも目撃していた。

大麻はOKだけど、やっぱりそうすると違法ドラッグ方面へのタガが緩くなるのか、LSDも比較的手に入りやすかった(らしい)。世界中の都市でそうだったのかもしれないけれど、LSDは紙のシートに浸されて売られていた。子供のシール帳みたいに、5mm角ぐらいのマリオの絵とかがプリントされたファンシーな紙で、それをひとつひとつ切って、目の下に入れて使う。薬が水に溶けて、毛細血管から吸入されるのだ。そんな感じでお手軽だから、大麻と同じく若いニイやんたちが気軽にペラペラと紙を持ち歩いて、クラブだとかそういうところで売っていたようだ。

ところがあんまりにもお手軽なんで、あるひそんな売人のニイやん、紙をビニール袋にも入れず、カーゴパンツのポケットにさくっ入れて、いつもどおりにクラブで売ったりやったりしていた。クラブを出ると雨だった。やべっ降ってるよーまいっかあははと、いつもどおりクィーンズストリートを上っていきつけのカフェまで行こうとして、気づいたときにはもう遅い。濡れたカーゴパンツからLSDが染み出て皮膚吸着し、ニイやんはくるくるぱーになって車に轢かれてしまいましたとさ。おわり。

聞いたときは爆笑したのに、10年経って日本でするとドン引きされそうな話だ。