スカパーの日曜はチャンネルまたいでウルトラシリーズ5本連続放送という怪獣天国状態。そのなかでも先週までのウルトラマンエースがちょっと凄かった。「超獣ブラックサタン」「巨大ヤプール」「マザロン人」とエピソードが続いたんだが、凄く宗教的。以下ネタバレ。

ブラックサタンは名前からして“悪魔”なんだけど、エースは天罰さながら雷を降らせて超獣を倒す。巨大ヤプールのエピソードでは子供をかどわかす偽救世主が登場し、主人公は幻覚により仲間から不信の目を投げかけられる。不安定な画面構成に引き立てられダークなドラマが進むが、最後には一転、まさに奇跡のごとくゾフィーが登場し、エースを導き、最後には救われた子供たちが空からふわふわと降ってくるという凄まじい演出。
そしてマザロン人の回では、ある少年の母親がヤプールの生き残りに取り込まれ、悪魔儀式さながらに超獣の子供を産むという、ちょっと子供に見せていいのか悩んじゃうストーリー。まあ子供時代の自分は観ていたわけだが。最後には突然富士山が噴火し、まさに世紀末的な状況となり溶岩で真っ赤な画面のなかで、正統派怪人プロレスが行われる。しかしよりによってなぜこの回にこの特撮演出か。凄まじくシュールだ。

たぶんマニア本には当の昔に指摘されてたことなんだろうが、エースの男と女のふたりが合わさり変身するという設定は、性を超越した存在として神を強く意識させるし、また頭部や耳の意匠には仏像的な装飾が強く感じられる。敵のヤプール超獣では、ベロクロンやユニタングに乳房があったりするところもなにか象徴的だ。エピソードも怪獣の恐怖というより、人間同士の不信に恐怖を求める演出が多く、まさにヤプールは悪魔そのものと見て取れる。

先日の映画で「ウルトラマンは神ではない」というセリフにいたく感じ入ったばかりだけど、このシリーズの作家たちは、違うエッセンスを求めていたんだろうな。

まあこうやって書くとずいぶん高尚なモノに見えちゃうけど、実際は言うまでも無く凄くヘンな番組。しょっぱなのナレーションが「ヤプールはとにかく凄く悪いヤツなんだ!」とか。泥臭い子供だましと高尚な神話のごたまぜ。