バビロン5

スーパーチャンネルで第42話を観直している。物語が遂に大きく動き始めるエピソードだ。何度観ても引き込まれる。

ナーン政権の攻撃を事前傍受したセントーリ帝政共和国は、ナーン艦隊を壊滅させ、更にナーン母星へマスドライバー兵器を用いた軌道爆撃をかける。これらのフルCGIを用いたシーンは、今見てもまったく遜色ない。確かに宇宙艦などのひとつひとつのモデルは粗いかもしれないが、重量と空間を感じさせる演出は見事だ。実写との合成もダイナミックな効果を出すことに成功している。

なんというかな、日本の特撮で、背中にファスナーのある怪獣が出てきても、その絵に“説得力”があれば、ファスナーなど見えなくなるのと同じだ。スタートレックのような予算をかけたモデリングはできないが、創意と工夫、新進の気取りに満ち溢れている。断言するが、スタートレック:ディープスペースナイン、ヴォイジャー、そして現在のエンタープライズに至るまで、このB5シリーズを上回るダイナミックCGIシークエンスがあったためしは無い。

この時点でCGIを政策しているファウンデーション・イメージング社は、後にスタートレック:ヴォイジャーCGI製作にも当たるが、やはりB5をやっていたころが、最も貪欲で勢いがあったのだろう。

そして戦争後のヒューマンドラマも凄い。全面降伏したナーンに対するセントーリの声明朗読シーンには、鬼気迫るものがある。第二次大戦になぞらえた物語はテレビドラマとして判りやすく感情移入ができる。また惑星間政治・銀河経済といった超マクロなバックグラウンドを与えられた物語は、実際のセットの小ささに反比例して、視聴者にSF的な高揚感をもたらす。

この42話まで、バビロン5は小さな絵、小さな話の退屈な低予算SFと見られても仕方がなかったかも知れない。しかし、この42話からは、遂に隠してきた爪をむき出しにして、大河SFの本道を驀進しはじめる。バビロン5がスタートレックを超えたと称されるのは、ここからである。無論、これからも退屈なエピソードはあるし、ダメ演出もある。けれども、そういったマイナス要素は、有り余ってエネルギッシュな物語に隠される。未見の方は、ぜひ今から、観てほしい。

……おお、なんか観てたら昔の思い出がよみがえってきて、熱く書いてしまった。まるで5年前の文章だ。