祖父のコンピュータと住基ネット

今年の頭にウィンドウズXPへアップグレード作業をした祖父のコンピュータだったが、なにやら調子が悪いということでまた面倒を見ることになった。とはいえ実際行ってみると、既に叔父の手によって色々と試みが為されており、とりあえず僕の為した最大の成果は、前回のアップグレード時に取ってどこかにうもれていたデジカメ写真のバックアップを探し出し、もう一度インストールしてあげたことだ。しかし非常に喜ばれた。

デジカメ写真はロードしてみると画像の数はなんと700枚を超えていた。祖父と叔父(+僕も少々)で前世紀の終盤から撮っていたものが全て入っていたわけだが、フィルムというモノが存在しないとどうなるかがよくわかった。膨大な数の試し撮りや、同じ被写体を何枚も撮ったものがかなりの割合を占めていた。

XPは起動するたびにメッセンジャーのアップグレードと .net の承認のメッセージが出るので、言われたとおりにした。するとその後作業しているうちに、祖父のアドレス帳に入っている父のメールアドレスが、「サインインしました」というメッセージと共に幾度かポップアップするようになった。父が会社でコンピュータを使うたびに、自動的にメッセンジャーで結ばれるんだろう。本人たちが気づいていないから仕方ないんだが、ある意味プライバシーもへったくれもあったものじゃない。

住基ネットがどうのこうのと騒いでいるおっさんおばさんのコンピュータも、似たような事になっているんじゃないかと容易に想像がつく。普通にウェブを利用していれば、ブラウザのテンポラリファイルには数百枚ものクッキーが入っていることだろう。そのうちの何枚かは、ネットで個人情報をハデに打ち込んだ証拠として与えられるものだ。プライヴァシーうんぬんを論ずるなら、この辺の企業によるプライヴァシーの暴露にも気を使っていただきたいが、おっさんおばさんにはちょっと難しいのかもしれない。しかしプライヴァシー問題を昔ながらの思想・視点で語るには、ちょっと世界が変わりすぎているような気がする。無論11桁の番号は広い意味でブラウザの中のクッキー1枚とは比べ物にならない危さ(というか、軽率さ)を秘めていると僕も思うけど。


ただ、最近はプライヴァシーや個人情報に対する感心と取り組みが社会全体で高まっていることは確からしい。信用調査などの実務はかなりやりづらくなっているそうだ。しかしまあ、個人情報の漏れない社会というものは存在しないと思う。例えば消費者金融の超過債務者リスト。これは本来は大手会社のあいだで共有されてるだけのものだけど、第三者が社員にカネを積んでそれを覗き見るという行為は日常的にある。こんなもんなんだろう、プライヴァシーなんぞ。

  • 朝何食べたか覚えてひん。
  • 昼ラーメン。味噌ネギチャーシュー。
  • 夜地元町内の店で家族と。しめさば、牛タン、鶏おろし、しょうがの肉巻きフライ、豚キムチ豆腐など。どれも素晴らしい。牛タンは前回某所で御馳走になった時に、非常に良い食材をじぶんで炭火焼にして食べるというスタイルで頂いたのだが、表面をプツリと脂を弾いて噛み込めば、中でジューシーな弾力のある肉が待っているというそれはそれは素晴らしいものだった。今でも反芻できる。今回食べたのはそれとは数段劣る食材だろうし、手間もかかっていないが、これは普通のステーキのように厚手のタンをそのまま焼いたものだった。これはこれで新鮮な感覚だし、なによりバランスのとれた手堅いおいしさがある。田舎の火曜日だというのに満席だが、その理由は誰もが舌で知っている店だ。